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大都市でも地方でも人間が求めるものは、行くつくところそこに住むことの優しさがあり、温かさであろうか。鉄筋コンクリートのビルの林は幾何学的な流れと人を引き込む何物かを持っているが、その反面人間を全く寄せつけようとしない冷酷非情な冷たさを併せ持っている。
早くも約一千万人以上の人たちを呑み込んだ話題沸騰の「六本木ヒルズ」へ行ってみて、何か人を寄せつけようとしない冷厳たる事実に、か弱い人間としての空しさを痛感した。多くの秀逸なクリエイターが集い頭脳と英智を結集して生まれたこの街も、人間が本当に求める心の安らぎはありえなかった。
確かにものものしい外観と仕掛けには一驚したものの、海抜250メートルから東京を一望できる魅力は、一つの存在感を持っていた。
360度のワイドなすばらしい眺望にも感動した。でもそれは東京タワーやランドマークタワーの二番煎じでしかない。
超高層ビルの展望台「東京シティビュー」は、1500円を要してまで見る価値があるのか、大きな疑問を抱いたことも確かだ。
建築中に一度現場を見て、完成後改めて行ってみてそれほどの感慨はなかった。ハードは壮大で威容があったが、ソフト面では新しい建築に対するキメ細かいものが弱かった。
オープン当初とあってお客は開店景気もあり沢山押しかけていたが、一段落したあとは寂しい姿になりはしないか懸念される。
9・11で完全に消え去ったニューヨークの世界貿易センタービルに匹敵するランドマークとして、この「六本木ヒルズ」は後世に残る建築物になるだろうが、人の心を完全にキャッチすることは不可能に近い。
わが高松市においても、サンポート高松のエリアに「シンボルタワー」が次第に高さを加えているが、これをどう生かし内外に情報発信していくのか。本当に香川のランドマークタワーになりうるのか。
このあたりを関係者はどう考えているのだろうか。
ハードももちろん重要なことだが、ソフト面の細部にわたる創意工夫と、緑や水を巧みに配置した心のやすらぎ、憩い、癒しといった部分の表現も、キチンと形にして欲しい。
無機質なモノを言わないコンクリートと鉄の塊ではいけない。
「六本木ヒルズ」に欠けているもの、補って欲しいものをよく考えて、シンボルタワーを本当に県民の心に訴え、アピール可能な施設にしてもらいたいものである。
東京探検の中で次にに立ち寄ったのが、港区三田一丁目にある「東京讃岐会館」であった。広い通りから一歩入った閑静な場所に、鉄筋12階建の会館が静かに構えていた。
改装工事の人たちに交じって、運営を担当する(株)喜代美山荘(花樹海)の三矢昌洋社長も、忙しそうに動いていた。不意の訪問で驚いていたが、すぐさま内部を案内してくれた。
予想以上に傷み、劣化がみられ、この調子では補修工事も大変だなぁと直感した。
「改修するところが多くて、お金がどれだけいるかわからんぐらいです。
でもできるだけ、いいものにしたい。由緒ある備品や設備もあってなかなか難しい作業ですよ」
と三矢社長も覚悟を決めていた。
ちょうど高松から(株)エムビーエムの三木美國社長も社員を引き連れ、工事にきていたが、県の施設ということもあって予想以上の難工事。
単なる金儲けではできない。愛郷の精神がなくては完遂できない。
庭園はすばらしく鬱蒼と繁った樹木は、歴史の長さを無言のうちに物語っていた。
ロビーなど什器備品も逸品が多く、旧き良き時代のノスタルジアを想起させる雰囲気が満ちていた。真珠王の御木本幸吉氏から県が買い取った物件だけに、その重みは随処に感じとることができたのである。
東京に片寄りすぎる再開発
今回の上京で計らずも近未来的な超高層ビル群 「六本木ヒルズ」と、やや古色蒼然とはしているが旧き良き時代の名残りを残す東京讃岐会館(8月8日から東京さぬき倶楽部としてオープン予定)とを対比すると、いろんな意味で教えられるところがあった。全くの偶然であるが同じ日に二つの施設を訪ねて、別の意味でカルチャーショックを受けた。
いま東京は激しいスピードで動き超高層のハコ物が次々と建てられている。この調子でいくとニューヨークにも負けない21世紀型の大都市東京に変貌しそうな勢いである。
そしてまさに"東京一極集中"となっていることに、何かしら一つの恐怖すら感じる。これでいいのかどうか。スピードが速すぎはしないか。
高松でも丸亀町商店街の再開発が着々と進んでいるが、慎重の上にも慎重を期すべきだと痛切に感じた。(本誌編集長 中西 稔)
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