コラム せとうち

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抜粋記事

 つい先頃帝国データバンクが発表した「都道府県別・女性社長が経営する企業の比率」によると、第1位は徳島県で8.29%、高知県が第5位で6.97%。
 わが香川県は一寸ダウンして14位。6.10%となっている。
 まずまずの順位でそれほど悪くはないものの徳島、高知に後塵を拝しているのはちと情けない。
 女性社長よ、もっと出でよ、と声を大にして叫びたい。
 もっと上位かと予想した愛媛県は28位、対岸の岡山県は11位、広島県は20位といささか振るわないが、県独特の県民性もあるので一概に論評はやりにくい。ちなみに最終ランナーは長野県であった。
 香川県における女性社長の中で最も光彩を放っているのは、なんといっても(株)宮脇書店社長の宮脇富子さん。全国展開で一躍"書店のクィーン"に上り詰めた跳躍力と実践パワーはすごいの一語につきる。
 書店業界はいま老舗、新規企業が入り乱れて店舗展開を図っているが、一地方にあって全国展開を果たし、確固たる業績をあげている宮脇社長の手腕はまさに男性社長群も顔色ないほどのパワフルな経営力を秘めている。
 創刊以来ご昵懇にさせて頂いているが、いつお会いしても変わらぬ謙虚さときめ細かい気配りには脱帽する。このどこにあのすごいパワーが潜んでいるのか、と首をかしげるほどだが、現実に全国300店舗をやってのけているのだから恐れ入る。
 香川を代表する女性社長といっても過言ではない。
 この秘密は何だろうか、とよく考えることがある。昔からあまり女性は出しゃばらない、というのが常識であり、香川特有の県民性だった。
 つまり謙譲の美徳とでも言おうか一歩下がっていることこそ女性の鑑であると言われてきた。しかし、いまや21世紀の時代。完全にこのことは死語になっているだろう。
 宮脇社長はあまりこうした習性にこだわらず、自ら選んだ道を自らの考えで堂々と進んできた。
 まさにあっぱれなことである。
 女性特有の繊細な神経は持ち合わせているが、表面的には大胆にして前向き、猪突猛進型のキャラクターを前面に出して、長男の副社長とともにダイナミックな店舗展開に全精力を傾けた。
 いまや北海道の旭川市から沖縄にまで、同社のFC型店舗が堅実に経営している時代になった。流石の紀伊国屋書店や丸善も敵ではなくなった。自己の信念に基づいて行動する、他人の雑音は一切気にしない。これこそ新しい21世紀型の讃岐女性として面目躍如たるものがある。

常に自然体で社員と接する

 デュプロ(株)(高松市春日町)というOA機器販売の会社がある。
 この社長である宮宇地すみ子さんは、創業以来社長だったご主人が病死したため、やむなく後継社長に就任しはや13年のキャリアを数える。
 もと主婦だったためいきなり社長といっても、五里霧中で何も分からない。試行錯誤しながらも四国四県へ展開している営業拠点もキチンとフォローして、毎期黒字の立派な業績をあげている。宮脇社長と正反対に自らが先頭に立ってぐいぐいと社員を引っ張っていくのではなく、女性としての資質を最大限に生かし男の領域を侵さず、コツコツと働きやすい環境づくりに神経を払ってきた。あまり気張らずにごく自然体で社員と接し、キメの細かい心遣いで仕事に対する意欲をうまく引き出してきたことが、社業発展の原動力になったものと解釈してよかろう。(7月末で会長に就任)
 張り切りすぎて社長のポストを強く意識するあまり、高飛車に出て口うるさく社員をしかりつけていれば、かえって反発を招いて社内の雰囲気もおかしくなってしまうものだ。女性としてのトップはどうあるべきか。一定のルールはないにしても幹部や社員と接するのは非常に難しい。「一寸軽く一杯やろうじゃないか」と一人の幹部や社員を誘うわけにも行かない。
 その時は数人のグループにするべきで、変な誤解を招くようなコミュニケーションのあり方はとるべきではないだろう。
 馴れ合いになってもいけない。ある程度の一線は画しつつソフトな形で社員との対話も必要だし、幹部との懇談も肝要なことである。
 お互い立場は異なっても「一緒に力を合わせて、この会社を大きくしていくんだ」という連帯感は常に持ってもらうよう、様々な対話や懇談の中で工夫しなければならない。
 まだ他にもユニークかつ個性的な女性社長はいるのだが、今回はお二人の事例を紹介した。
 結論から言うと「社長らしくない社長」だが、一旦緩急あれば「社長として頼りになる女性社長」というのが、一つの理想像ではないだろうか。(本誌編集長 中西 稔)

   
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