コラム せとうち

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抜粋記事

 「1テーブルの回転率が一時間当たり2回転のハンバーガーに対し、うどんは3〜5回転はいく」
 ある業界関係者がいみじくも漏らしたこの言葉が、うどんビジネスの特徴、メリットを物語っている。
 半セルフサービスのためトレーにのせて次々とトッピングをとっているのはお客自身。バックヤードの人間もそう沢山配置することもなく、次々とベルトコンベアー式に流れていき、最後のレジだけはキチンと処理すればスピードは至って速い。
 せっかちで待つことの嫌いな現代の人々にはピッタリだ。
 先見性のある飲食業ではこの点に着目、多角化の一環として、また業態転換の方策として讃岐うどんをターゲットに絞り込んだ。
 特に瀬戸内経済圏ではそれ程違和感はないとみえて、岡山市に本社のあるベーカリーレストランチェーンのサンマルクは、「あっぱれ讃岐」の看板で店を出している。現在のところ、岡山市、倉敷市などでまだ8店しかないが、来年3月までに15店にする計画を持っている。
 紳士服のはるやま商事も「釜玉」で12店出店し、早くも増店体制。
 香川県内でも、「はなまるうどん」や「さぬき小町うどん」などを大手が手掛け、順調に店舗数を伸ばしているが、第2の勢力である「はすい亭」はダイエー各店のインショップ方式で、投資金額もあまりかけず快調に店舗を増やし売上げも上々だ。
 このビジネスの命はそんなに長くはないかも知れない。
 一気呵成に店を増殖させブームに便乗した場合は、頂点に上がるのも早いが下がるのも早いといわれる。
 圧倒的な集客力で連日長蛇の列といった現象は、東京、大阪などの巨大都市のみの一過性的なもので、地方都市ではあっけなくしぼんでしまいそうな懸念すらある。
 人間は飽きっぽく浮気性があるので、うどんを卒業すれば次はおのずと別の外食へ走ってしまうだろう。
 それはコンビニを発信基地とした全国的な"おにぎりブーム"で、100円から高級化の130円ものがよく売れる時代になってきた。
 広島市の鯉城食料企業組合では、専門店「こめ・おむすび工房」を中区にオープンしたが、一日に約三百個が売れるというバカ当たりだそうな。米穀店で作っている組合だからコメの産地も厳選している上、商品には産地も明示して安全、安心をアピールしているのが受けている。
 コンビニのローソンでも、少々高くても高級おむすびがよく売れる傾向にあり、うどんと共におむすびが根強い人気を集めていることに注目してもらいたい。
 また広島の話で恐縮だが、民芸調の素朴な店舗でおむすびとうどんを専門に売る「むさし」という店がある。現在9店舗を運営しているが、たかがむすびと言うなかれ。なんと年商十二億円規模の立派な外食企業なのである。もちろん食材にはこだわっており、中へ昆布やおかかを入れにぎったむすびは上質ののりで巻き、実にこれが美味。
 いつ何回食べても飽きない和食ファーストフードの秀作店で、いつ行っても安定した集客力を持っている。ぜひこれを一度試食することをおすすめしたい。
 讃岐うどんとこの高級な民芸風おむすびをコラボレーションして、県内には類似店のない高級店をぜひ作って欲しいものである。
 といっても値段は大衆的でそう高くはない。従業員も素朴なかすりの着物姿で元気良くサービスしてくれ、広島では知る人ぞ知る人気店だ。

むすびとうどんの高級店を

 セルフサービス店の特徴を巧く生かし採算性の高い店づくりも大切だが、このスタイルはいつかは飽きられる。永続性のあるうどんとむすびの高級店を作り、お総菜などのセットメニュー化も図れば、夜の食事にも十分対応できよう。
 いま繁昌しているうどん店も、残念ながら夜の時間は全くの不振で苦しんでいるのが現状である。
 昼も夜もコンスタントに集客するためには、夜(ディナー)の強化しかない。
 地方都市ではうどん店の夜はかなり閑散としており、夜は営業していない店も少なくない。
 昼間の売上げで一日を稼ぐというのが純粋のうどん店。
 高級店指向にのりレインボーロードにオープンした「麺め家」は、昼のランチタイムは大勢のお客で健闘しているが、やはり夜が弱い。
 「うどん懐石」「讃岐ぜいたく御膳」「しゃぶしゃぶ膳」など、創作料理的な色合いを持たせつつ、単価の高いセットメニューを用意しなければ、売上げに寄与しないのでは。
 少々高くても内容のいい満足感ある料理を、という声は非常に強い。
 そろそろポストうどんの方向づけをキチンと設定し、高品質化への道を模索しなければならない。(本誌編集長 中西 稔)

   
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