コラム せとうち

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抜粋記事

 貸し渋り、貸し剥がしなどという耳にするのもおぞましいことが、金融業界で半ば公然と行われていたやに風聞するこの異常な事態。銀行サイドでは、この間も某行の営業部長が「そんなことは全くありません」と一切を否定しているものの、逆の立場からすればそのようなひどい所業に映ったのかもしれない。
 それはもう過去のこととして水に流し、これからは銀行側も消費者また法人側もこのことを一つの教訓にして、車の両輪の如く経済界の活性化回復のため相携えて進めて行かねばならない。
 銀行サイドに新しい風が少しは吹いて来たように感じる。
 その典型的な事例が次々と発生し、マスメディアに流れているが、この傾向は大いに歓迎されなければならない。とは言っても末端の中小企業には、2回目の不渡りを出して銀行取引停止処分、といった倒産情報が連日流されている昨今のこととて、決して銀行側におもねるわけではないが、「少し変わってきたな」という印象は強い。
 つい先頃、山陽新聞経済面に「天満屋に100億円、中銀など9金融機関協調融資」という記事が、3段抜きで掲載されていた。
 高松市内にも店を構えているあの天満屋の本店(伊原木隆太社長)が、中国銀行、百十四銀行など9行から成る協調融資「シンジケートローン」を組んだというのである。これには少々驚いた。何しろ100億円といういまだかつてない超大型のシンジケートローンなのである。参加したのも中央、地元の第一線銀行を連ねている。中国銀行がメーンのため三井住友とともに幹事行となり、広島、百十四、あおぞら、山口、伊予、商工中金、トマトという顔ぶれ。
 期間は5年。実行日は11月25日。
 天満屋が瀬戸内経済圏に店舗網を持っており、その業歴と内容、地域への貢献に如何に大きな信頼感があるかハッキリ証明した一幕でもあった。まさに天満屋恐るべし。
 これがため低利の資金調達は、天満屋の兵姑部を十二分に潤し、年間二千万円〜三千万円の利息軽減につながると言うことである。
 9行が相揃って「みんなで渡れば怖くない」式のシンジケートローンを実現したことは、他の大型企業でもこの前例に叶うこともありうる、という一つのケースでもあった。
 香川県下でも、すでにこのパイオニア的存在ともいうべき家電販売の「ビッグエス」が、平成13年3月にみずほ銀行をメインとするシンジケートローンが組成され、県下第一号として大きな話題を集めた。
 意欲的なビッグエス大坂靖彦社長の上昇志向に賭けたみずほ銀行のマッチングが、四国初の大型ローンとして脚光を浴び、これを有効活用した同社は、いま兵庫県への出店を企図。改めてみずほ銀行と三億円の私募債を敢行した。
 分譲マンション販売でメキメキ頭角を表してきた和田コーポレーションも、百十四銀行、県信用保証協会のバックアップで二億円の私募債発行に成功するなど、大きく変化した。

中小企業にも光を当てて欲しい

 大型融資の選択肢が拡がり、シンジケートローンと私募債が大きな武器となってきたが、どこの銀行と組成すれば一番効果的かという問題がある。この組み合わせの妙、相乗効果、今後下手をするとメインとサブの逆転ということもありうるのである。銀行の戦術も問われかねない。
 水族館に多く使われているアクリル樹脂の重合板接合では、世界的トップレベルの日プラ(株)(木田郡三木町)が、香川銀行単独で無担保私募債一億円の実現を行った。ところが同社のメインは百十四銀行であったが、サブの香川銀行が首座のキープを狙ってかこの大きな仕事をしてしまった。百十四銀行も一歩遅れて顔色なし。こうしたケースは今後とも漸増してくることが予想される。
 都銀、地銀、信金、信組と金融母体の形こそ違え、"融資"という道筋は一つしかない。
 金融機関としての原点に還りこうしたケースが増えることは、関係企業としても頼みの綱になるだろう。
 協調または単独でもいいが、この枠をぜひ中小企業の段階まで下ろして、中型のシンジケートローンを組むことも検討、そして実践して欲しいものである。わが国の景況も厚く垂れこめた雲の中から一筋の光が差し込んできたが、全体にはまだ"視界ゼロ"の暗黒の世界である。
 中位行、信金、信組が手を携えて中小企業の積極戦略を後押しして、底上げを図ることも大切なことだ。
 ぜひ改革精神と先見性を併せ持つ高松信用金庫の伊賀理事長が音頭をとって、中小企業を対象とした第一号のシンジケートローンを実現、やさしい光のプレゼントをして欲しい。こうした新しい風を無駄にすることなく、景気回復策の引き金にすることは最大の急務であろう。(本誌編集長 中西 稔)

   
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