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阪神タイガース優勝の霊顕は誠にあらたかであった。JR大阪駅前にある阪神百貨店は人の波で埋まっていた。特にタイガースグッズの売り場は、ものすごいお客の大洪水で商品も飛ぶように売れていた。恐るべきタイガースの神通力を今更のように見て、その爆発的な経済効果を構築すると、かなり大阪の景気浮上に貢献したことを改めて知ったのである。高松にいてはそれほどの実感はなかったが、流石に大阪の本場へ行くとそのすごさをまざまざと見せつけられた。ちょうど優勝パレードの前日ということもあって、心斎橋ではその準備も進められていたが-。
何かのきっかけ、一寸した起爆剤というものは、低迷する景気の底上げに大きな役割を果たすものだが、やはりプロ野球のパワー、わけても阪神タイガースの広域的、副次的効果は想像をはるかに上回るものがあった。景気回復への手応えはあった。
高松はそうしたものが全くない。
何かによって一筋の光筋を見出したいという願望はあっても、すがりつきたいという一本の糸が見えてこない。何もないからついつい貯蓄に精を出して、貯める喜びに人生の充実感を求めてしまうのであろうか。
大阪では新しく誕生したミナミの「なんばパークス」へも足を運んだが、ここもやはり人、人、人の波であった。もう人間を見るのが、嫌になるくらい人に溢れていたが、人口密度の少ない香川県ではとても考えられない現象であった。
ファッション中心ではなく珍しい商品を集めた雑貨店やニュータイプの店が結構人気を集めており、お客も買い気に出ていたのが目立つ。
目玉は「大阪ヌードルシティ」(10店舗)で、ラーメン、うどん、スパゲティなど、あらゆる麺類を一堂に集めた集合店舗は大混雑していた。
わが讃岐うどん勢は、仕掛人田尾和俊氏がプロデュースした「大阪麺通団」が出店していた。早速10分ばかり並んできつねうどんを食べてみたが、全体に味は今一つというところ。だしはいりこをメインにいい味を出していたものの、うどんの出来映えはちょっと満足せず、お揚げの味付けもまずまずで、やや期待はずれといった格好だった。
田尾氏は10日に一回ぐらい店へ来るそうだが、もっと全般にアドバイスして常に商品力の強化に努めねばなるまい。
人気の中心はやはりラーメンで、約1時間半待ち。店の前には長蛇の列が続いており、常に衰えない超人気ぶりを誇示していた。
スパは低調。人気が伯仲しているのはうどんとラーメンだが、集客力の点では完全にラーメンに首座を奪われていたのが残念だった。
地元香川と同じレベルで提供するのは至難の技だが、味のレベルアップを常に怠ってはならない。
欲望の底に眠る心を呼び覚ませ
消費動向は完全に二極分化の足どりを進めており、大阪でもルイ・ヴィトンや各種ブランドの路面店は、どこも相当な集客力を示していた。
特にヴィトンは圧倒的なお客を集めており、店内は混雑していた。
高価な商品でも欲しいものにはお金を惜しまず使うが、不要なものはいくら安くても手を出さない。
イタリアの高級家具メーカーの「カッシーナ」の独立店舗で展示会を行っていたので、入って見学した。
客層も年輩から若いカップルまで幅広く、魅力的な商品の数々を興味深く見入っていた。確かにカッシーナの価格は高い。しかし、デザインのすばらしい製品の数々には魅了される何かがあり、少々値段は張っても購入したい人はかなりいるものと見える。消費不況と簡単に片づけてもいけない別の要素もあることを、いろんな体験の中から感じ取れた。
欲望の底に眠っている購買動機に火をつけることは容易ではない。
しかし、嘆くばかりではなく、あの手この手で点火する努力を惜しんではならないのである。
阪神百貨店では、タイガースグッズの広い売り場に商品が山のようにあり、熱烈なファンが押し寄せて大量に買っていく。この姿をみると消費不況もやり方次第、企画次第では財布のヒモを緩めることは可能だ。
その根底には"阪神タイガース優勝"というビッグな現象があったればこそで、関西人と言わず全国津々浦々のファンはこぞって応援を惜しまない。お膝元ではそれが目に見えてお金になっているものの、遠隔地は儲からないところに悩みもある。
幸い深くたれ込めていた雲間から一筋の光が射し込んできた感があるが、寝ても覚めても不況脱出のアイデアを考えているが、そのうちプランの一つも出てくるはず。
まず諦めないこと。ねばり強く光が射すのを待つよりも自ら仕掛けて、自分の懐に呼び込むことを考えて欲しいものだ。不況なんかぶっ飛ばせ。朝の来ない夜はない。(本誌編集長 中西 稔)
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