コラム せとうち

表紙・目次
抜粋記事

 香川県人の県民性を俗っぽい表現で言うと「へらこい」と表現する。小知恵が回って要領がよく利己的。そして抜け目がないというのが県人の気質を表わしているようだ。日本一狭い県の割に人口密度が高いせいか、どことなくコセコセした気質になり勝ちで、「讃岐うどん」もへらこい気質から生まれたとも。
 新刊「県民性がわかる本」(山下龍夫著・幻冬舎文庫版)を読むと47都道府県の県民性なるものが、実に的確に様々なデータをもとによく書かれており大変参考になった。
 瀬戸内海を前にして穏やかな気候と三寒四温という比較的暮らしやすい県であり、台風や地震などの災害も非常に少ない。
 県の総面積も全国で最下位、しかし貯蓄額は全国3位という倹約型の県民が多い。
 年収に対する貯蓄額の比率は、229.3%で全国第一位。
 高松・中央通りには両サイドに金融機関や証券会社がズラリと勢揃いしているほか、郵便局、JA(農協)の貯蓄高は高い。昼食はうどんですます人も多く、食事なども決して贅沢はしないという堅実な人が多いようだ。
 日本銀行高松支店で回収する一円玉も、神戸、東京に続いて全国三位で、徳島県も管内に入っているもののかなり高い数字のようだ。
 金刀比羅宮や四国八十八カ所の御守りに使われるため、一円玉が大量に集まってくるということである。
 その点高知県などは、カツオ漁でしっかり儲けたお金で高額の時計や貴金属を買ったり、株式投資などにも思い切ってお金を使うと言われている。豪快に皿鉢料理を食べ一升酒を呑む人も多いなど、伝説的なエピソードも多く書かれていた。
 それに対し香川県人は、うどんのように細く長く手堅い人生を送ることが、昔から一種の美徳とされた。
 貯蓄高の高低によって人間性というか「あの人はお金も沢山持っとるけん甲斐性がある人や」というように、判定の物差しにしてきた。
 結婚の相手も「貯金はなんぼぐらいあるんな」とそれとなく探りを入れ、多ければ娘をやっても良いと親は承諾の返事にしたようだ。
 全国でも有数の教育県であり、親は貧困に耐えても子供には一流大学へやり、それを誇りにしてきた。
 ところが卒業後はそのまま大都市に住み着いて、郷里の香川へ帰り家業を継いだり両親の世話をすることが少なくなってきた。
 高学歴社会に子供を投じたことが災いして、「はよう帰ってくるよう言うとるんやけど、東京できれいな嫁さんをもろうた息子はいつもナマ返事ばかりしよって、高松へ帰ってくると言わんのや。店も継いでもらわないかんのに、困ったこっちゃ」と親は天を仰いで嘆息する。
 また「讃岐の猿真似」と昔からよく言われてきたが、とにかく新しいものが好きで吸収するのは速いと言われる。そこから独自の讃岐文化が生まれるわけだが、物真似ではないオリジナリティを求められる時代になってきたことは確か。
 「へらこい」(ずるい)性格はそろそろ返上して、相手の立場や心を汲み取り寛容な広い心で思いやる気持ちを持たねばならない。
 またよく言われることは、「上昇志向を持ち這い上がっていく人間を、いろいろ中傷して引きずり落とそうとする気質もあり、讃岐の人間からは全国的に飛び抜けた人間は出にくい要素がある」との批判も聞かれる。
 そして、うわさ話が好きな人間が結構おり、それによって潰された人もいるらしい。

"四国は一つ"県民気質は四つ

 この本によると、徳島県は「何事も"損か徳か"の阿波商人 勤勉で抜け目ない実利主義者」との評価。
 愛媛県は、「明るく穏やか、"ほどほど"で満足する中庸主義」、「楽観的だからこそできた?伊予商人が発明した"クレジット"」。
 一方高知県は「男は"いごっそう"、女は"はちきん"」、「稼ぎは酒代に消え、白黒はっきりつけたがる日本人離れした価値観を持つ」と独特な県人気質を表現している。
 なかなか的を得ているが、いまの若い人に言わせると否定的な意見もあるようだ。
 「四国は一つ」というスローガンになって将来的には「四国州」が生まれる可能性もあるが、性格的には四県それぞれの個性があり一緒にはなれない要素が多分にあるようだ。
 四国四県の県民性を表現するのに
「もし思いがけないお金が入ったらどうする?」と質問すると、
 香川県人は貯金する。
 徳島県人はそのお金を元手に増やそうとする。
 愛媛県人は買い物をしてしまう。
 高知県人は、うれしくなってお酒を飲んでしまう。
 という判別法を言われてきたが、当たらずとも遠からじという感も。
 根本的な県民性は不変だろう。(編集長 中西 稔)

   
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