コラム せとうち

表紙・目次
抜粋記事

 トヨタ自動車の販売系列の中でトヨタビスタ系が消滅し、新ネッツ店に2つのディーラーが5月1日から発足。21世紀型販売チャネルの再編成であるが、これが自動車販売の最前線でどのような波乱を招くか注目される。しかも、全国的にはネッツ店から"トヨタ"の名称を外してしまったところもある。
 香川県下では、トヨタビスタ香川が「ネッツトヨタ高松(株)」(高松市香西南町404-1 木村大三郎社長)となり、従来からのネッツ店はそのまま「ネッツトヨタ香川(株)」(高松市木太町2681-5 石井清裕社長)として営業を行うものである。県下のネッツ店は2社が相競う形となり、両社での取扱い車種はダブル体制で販売するため、ユーザーにとってはどこに選択の物差しを置けばいいのか迷うことになりかねない。
 トヨタ系のチャネルとして、このほかトヨタ、トヨペット、カローラの3系統があるが、ネッツ系と合わせ4チャネルは、ちと多すぎはしないだろうか。この中で最も若者向きで革新的なチャネルはネッツ系であることはよく知られており、2チャネルが一本化した相乗効果には期待したい。
 さる5月1日に新しいネッツトヨタ高松で行われた発足会に出席したが、木村社長はじめ役員、社員ともども意欲あふれる壮途出発に意気上るものを感じたのである。何しろ1980年にトヨタ系最後発のチャネルとして創業、ハンディを乗りこえての苦しみを味わいつつも、年商四十七億円の中堅企業に育てあげた木村社長としては、社名にも言いしれぬ愛着があることは確かだ。
 それがトヨタ本社の方針によってネッツ系の一本化が実現したわけだが、いずれの社にも目に見えない効果があることは確か。ただ業績面の数字にどう反映されるかはこれからの推移をみなければなるまい。
 ネッツトヨタ高松としては車種も増える一方、若い客層向けの取扱いが一気に高まるため販売手法も展示場を全面に生かした方向に転換するべきで、助走段階では多少の戸惑いもあることだろう。
 一方、従来からのネッツトヨタ香川は、永年馴れ親しんできた路線の上にプラスアルファを加え、販売最前線の士気は予想以上に上昇することは確実。業績アップは大いに期待できそうな雲行きだ。
 とにかく1プラス1はここでは意味がない。限られた市場の中では急上昇は無理としても、両社がいい意味での競争に拍車をかけることにより、ネッツファンの固定化と増加に少なからず効果をあげることは疑うべくもない。トヨタ自動車のディーラー政策の方向転換は一つの試練であるが、これが成功することによりより磐石のシェアが構築されることだろう。
 奇しくもこれと相前後して木村大三郎社長は、自動車販売での貢献度を高く評価され藍綬褒賞の受賞に輝いた。幸先のいい好スタートに錦上花を添える形になったことはめでたいことである。

地方の最前線をもっと大切に

 業界は日産自動車のゴーン旋風が相変わらず席巻しており、空前の好決算を発表して他社を煙に巻いているが、反対に三菱自動車はダイムラー社から三下り半が突きつけられ剣ケ峰に立っている。
 本社サイドの迷走が伝えられる中、地元の香川三菱自動車販売(株)の浅見英三社長は、逆風下をものともせず地域ディーラーの責任を全うしているが、ディーラーとしての悲しさ本社のことについてはどうにもならない。与えられた使命に最善を尽くすのみであるが、もっと本社の首脳陣は強い責任感を持って対処しなければならない。
 背後には多くのユーザーが介在することを絶対忘れてはならない。
 本社の迷走がいかに地方のディーラーに影響を与えるか、全く理解していないような誠意のない動きには、浅見社長はじめ幹部、社員も切歯扼腕しているにちがいない。
 とにもかくにも高松にある支社、支店の活動は、本社サイドの動き如何によって大きく左右される。
 いくら支店のトップが第一線で頑張っていても、一旦本社で不祥事が発生すれば苦言、批判は地方のトップへ全て集中するわけである。
 これではたまったものではない。
 景気回復が高まったとは言え、地方における回復テンポは遅々と進まず、苦境に喘いでいる企業が多い。
 いい話なんてものはあまりない。
 神経をすり減らし足を棒にしてお得意回りをしている地方の営業マンや営業責任者は、本社首脳部のミステイクからとんでもない結果を招いても、一切の批判は許されない。
 唯々諾々として応じるほかに手だてはないのである。悲しいことであるが、命令系統からすればやむをえないことかもわからない。
 明暗二重奏を描く自動車業界は、更なるユーザー直視の政策推進こそ生き残りの最善の道であろう。(編集長 中西 稔)

   
Copyright2000(C)Kagawa Keizai Report All Rights Reserved.