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今年から11月4日を「中小企業診断士の日」に/記念講演に三橋貴明氏

 中小企業診断士で経済評論家の三橋貴明さん(㈱経世論研究所所長)が講師を務める経済講演会が10月29日、サンポートホール高松の会議室(高松市サンポート)であった。
 講演会は、香川県中小企業診断士協会(高松市林町 山下益明会長)および岡山県中小企業診断士会(岡山市北区 児玉健治会長)の主催。両会が特別講師を招いた大規模な講演会を開くのは今回はじめて。
 昭和23年11月4日、中小企業庁による「中小企業診断士制度」が発足したことにちなみ、中小企業診断士と同制度の理解を深めていこうと、今年から11月4日を「中小企業診断士の日」に設定。全国の協会がPR活動に励んでいる。
 29日、会場には企業経営者らなど約110人が参加し超満員。はじめのあいさつで山下会長が中小企業診断士の業務と役割について、「企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが主な業務ですが、今は中小企業と行政・金融機関等をつなぐパイプ役、また専門的知識を活用しての中小企業施策の適切な活用支援等、幅広い活動が求められています」と丁寧に紹介。その後、三橋さんが、「日本経済の真実ー経済成長の絶好の機会が訪れたー」と題したテーマのもと、持論を展開した。
 冒頭、三橋さんは、「安倍政権による消費増税で、果たして本当に国民は豊かになっているのでしょうか」と疑問視。直近約10年間の実質GDP(国内総生産)成長率をグラフで解説し、「増税の結果、国民は極端に消費をしなくなった」としたほか、実質賃金も1997年を境に下落し続けている現状を指摘。未だ経済成長できず、「貧困化が続いている」と強調した。
 「結局、国民が豊かになるのはお金が増えることではなく、所得が増えること。所得の合計がGDPである」としたうえで、「所得創出のプロセス」を紹介。
 生産の合計と消費・投資(需要)の合計、所得の合計は必ずイコールで結ばれるという法則から、「モノやサービスを消費する(買う)人が増えれば、結果的に生産者の生産量が増え、その人の所得も増える。確実に比例する」と説明。ただ、逆もまた然りのため、「国民が将来に不安を抱いて消費や投資を減らすと、誰かの所得が減ってしまい経済成長できっこない。だからこれから先、絶対に成長できないと決めつけるのはやめてほしい」と呼び掛けた。
 また、人口減少が顕著のなか、一日の労働時間を増やさずして従業員一人あたりの生産量を増やす「生産性の向上」に重きを置くべきだと主張。そのためには、「設備投資」「公共投資」「人材投資」「技術開発投資」の4つで環境を整えることが必要だと力説。「ここに経済成長の絶好のチャンスがある」とし、高度成長期も労働人口が伸び悩むなか、その実行のおかげで成長の好循環に入ったと振り返った。
 「生産者一人あたりの生産が増えれば、消費も所得も増えることにつながる。確かに投資は不確実。でもやっぱりやるべき。今の経営者が将来に期待を託す“アニマルスピリット”を取り戻すことで、高度成長期のような成長路線に必ず戻れる」と訴えかけた。


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