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香川のキーパーソン

(株)ビショップ 代表取締役 中北 悦道氏

 出身は丸亀市。関東の大学を卒後、大手電機メーカーに就職し淡路島でSEとして45歳まで勤務。
 10年前に早期退職し帰郷。実母の玲子さんと同じオッペン化粧品に携わる。
 「母は、愛情を注いで育て上げたオッペン営業所を、家族に継いでもらうことが夢だった。母が体調を崩したタイミングで、夢を叶えてあげるため覚悟を決めた」
 玲子さんは今も丸亀市の三条営業所長を務め、傘下にある30以上の営業所をフォローしつつ、営業成績は全国トップクラス。
 「オッペン本社、傘下の営業所長に認めてもらうために、自分の力で営業所を立ち上げて評価してもらいたい」と、地盤のない高松でオッペン化粧品ビジョップ営業所を設立した。
 全国にオッペン営業所長は約千三百名いるが、男性は僅か数人。女性中心の美容業界で不安を抱えながら、縁もゆかりもない高松市で独りぼっちの挑戦がはじまった。
 この時、知人に紹介されて出会ったのが、香川県中小企業家同友会で、2016年2月に入会。
 今年4月の高松第1支部総会で支部長に就任した。


 「今期のテーマは、活気溢れる支部で共に成長しよう、と掲げた。第1支部には約百七十名の会員がおり、支部長として日々、大変貴重な経験をさせてもらっている」と感謝の言葉を口にする。
 「同友会活動で、常に意識しているのは、自社を良くするために活動しているということ。
歴代の先輩支部長達がそうだったように、支部長を経験し、これだけ本業を拡大させたと報告する姿を、後進に示したい」
 業績拡大のため、定期開催のイベントでコミュニティ強化、男性向けスキンケア教室など、ビショップファン拡大に努める毎日だ。
 「将棋は盤面を考え、最善と思った手を指すが、相手は自分が想定する手を指してくれないため、その都度対応が必要となる。普段の経営、生活も同じで、環境の変化に応じて、理念は変えることなく、戦略的な部分は臨機応変に行動している」
 将棋は、かつてプロ棋士を目指したほどの実力で経営にも将棋の考え方を生かす。
 1969年6月5日生まれ、まもなく55歳を迎える。


あきこきっちん 赤川明子さん

 「料理やお菓子作りの世界では、予想外の出来事にも臨機応変に対応する力が求められます。私は小さな頃から台所に立つことで、そういう人生にも通じる力を学んできたように思います」。
 生き生きとそう話す赤川さんは、4児の子育てと並行して、国産有機小麦粉使用・農薬不使用のパン店を毎週木曜日に営業。さらにパン・料理教室や各種イベント企画等を通じて、『食』の学び場を幅広く提供している。
 初めて台所に立ったのは、箸を持つよりも前のこと。料理と菓子作りが趣味の母と、台所に立つ時間が大好きな子どもだった。
 大学で栄養学を学び、卒業後は複数のケーキ店に就職。フランス留学も経験したが、体調を崩し24歳でケーキ作りの道から離れた。ガラリと職種を変えて始めた保育の仕事にやりがいを見出しつつも、一方で母親達の食に対する意識の低さが気になっていた。
 そして自身の結婚・妊娠を機に、改めて食の勉強を再開。「子どもは母親が食べたもので育つ」だからこそ「体に良い食べ物を選びたい」という思いが募っていた。


  やがて、3人に増えた子どもを育てながら保育士として働いていると、趣味で通っていたパン教室の仲間を通じて、市民シェフの依頼が入る。素材を生かした安全性の高いパンは評判を呼び、数度のイベント出店を経て、実店舗のオープンへと至った。店は5年目を迎えるが、「パン屋さんをやることが目的ではない」と赤川さんは言う。
 「食べる喜び、作る楽しさ、そして食の大切さを伝えること。食で世界を救うことが、私の目標です。例えば必要な栄養素が足りず、集中力が減ってイライラする子どもは増えています。子ども達の食を改善するためには、セミナーなどを通じてお母さん達の知識を広げることも必要です」
 悩める母親達の相談に乗ることも多い。「何かを始めたい。今の生活を変えたいと思う方の相談をたくさん受けています。私も悩んでいた時期があるので、そういう方にはあなたの可能性は無限大だよ、と伝えていきたいんです」。
 いつかもう一度フランスへ行って、ケーキではなく、パンを売るという夢もあります。笑いながらそう宣言する姿は、いかにもしっかりと前を向いて、「輝く女性」であった。