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香川のキーパーソン

【(株)鎌田醤油】 代表取締役社長 鎌田武雄氏

谷益美さん

香川の持つ資源を国内外のご縁と結び商工業や文化の発展に貢献したい

 大豆と小麦、食塩によって醤油が生まれるように、国内外のリソース(資源)や人を結び、新たな地域の宝の創造を目指すリーダーだ。
 三年半の北海道での事業統括・常務を経て、4月に鎌田醤油社長に就任した(鎌田商事は昨年4月就任)。北海道では、新規事業であるマッシュルーム生産・販売「とかちマッシュ」と深層地下水「大雪な水」の生産・販売での基盤を確立した。

 醤油メーカーとマッシュルームの取り合わせは奇妙に思えるが、双方の旨味成分の相乗効果に着目し、四年前から自社生産を開始。ただし、販路の開拓が課題となっていた。
 「流通業者に任せるべきという意見もありましたが、それでは消費者の声を直接聞くことはできません。鎌田商事という販売会社を有するのも、消費者と製造現場を自らで繋ぎたいという考えからです」
 氏は見本を携え、札幌や東京のこれはと思う仏レストランを訪問し、シェフ一人一人にとかちマッシュの美味しさを語りかけた。自分の信念を貫く粘り強さと、人の心を動かす熱意でもって、とかちマッシュは「パリで食べた味と同じ」「王様級」と著名シェフが太鼓判を押すまでに。ブランド化と販路開拓に成功するとともに、東京のミシュラン一ツ星シェフと新商品の共同開発も果たす。
 氏は、筑波大学大学院で食品工学を学んだ農学博士。農水省の研究機関を経て、スウェーデンの総合機械メーカーで勤務。07年から世界最高峰のビジネススクール、米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院でMBA(経営学修士)とMEM(製造技術管理学修士)を取得した。
 「ケロッグの真髄は他者の強みを生かして相乗効果を上げる、コラボレーション型リーダーシップです。
 香川の持つ歴史やリソースを、私が国内外で得たご縁で結び、香川の商工業や文化の発展に貢献できれば幸いです」
 同社は二二四年の伝統と歴史を持つ醤油メーカー。創業来の家訓、〝最優等の醤油を作り、社会のお役に立って信用を得る〟を守りつつ、社会の変化に柔軟に対応していく。  
 「極端な話ですが、醤油が必要とされない時代が来れば、醤油に替わる製品で最優等を目指します。と言っても、醤油で取り組むべき課題は山ほどあります」と目を輝かせる。
 趣味は北海道赴任時に親しんだ乗馬。動物と共に楽しむアクティビティに目がない41才。


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