ホーム香川のキーパーソン【百十四銀行】 常務執行役員本店営業部長 小槌和志氏

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【百十四銀行】 常務執行役員本店営業部長 小槌和志氏

若いうちから異業種交流はやるべき。モノの見方も変わるしポケットも増える

 経歴を聞くと波瀾万丈と言って良いかもしれない。若い頃に経験した事が、その後のバンカー人生に自信と成長をもたらした。
 慶応義塾大学を卒業後、配属先が新宿支店だった。その頃は新入社員教育というものはなく、仕事は現場で覚えよというのが銀行の方針だった。初日は、店舗の一番前に座らされて、次々と訪れる来店客に大きな声で〝いらっしゃいませ〟と言った。上司から、お客様をお迎えする第一声なのだから、心を込めて言いなさいと。今となっても忘れる事はないし、銀行の原点を見たと振り返る。

 その後郷里の香川に帰り、県内の支店に勤めたのち、平成2年に銀行から言われたのが、異業種交流の一環としてJR四国への出向であった。32歳の時で、配属先はJR四国経営企画室。直属上司に松田会長がいたし、当時の企画室の仲間は今もおつきあいがある。
 「銀行業務から完全に離れ、JRの仕事をすることで、物事の見方が大きく変わった。外から銀行はどう思われているのか。銀行は期待されていると思ったし、現地に足を運び、直接肌で感じとった。有意義な2年間だった」と述懐する。
 「企業との異業種交流はやるべきです。それも若いうちに。モノの見方も変わるし、ポケットが増える」と力を込める。
 16年間にわたる本店・本部勤務を経て、初の支店長を拝命したのが倉敷支店で50歳の時である。今治支店長、本店営業統括部長を経て現職に就任した。「まさか私が本店営業部長になるなんて夢にも思っていなかった。」というのが卒直な感想である。
 就任後、部下に伝えたのは、「数字をお願いする営業ではなく、お客様の事を知ったうえで話をすべきで、そこから数字は結果として出てくるもの。銀行は金融というかたちのサービス業でこれを忘れないで欲しい」という言葉だった。
 好きな言葉は富山の薬売りで知られた〝先用後利〟。先に使ってもらってあとから利益が付いてくるという考えだ。
 銀行の役割と聞けば、経済の中の町医者であり、世話好きな赤ひげ先生だと明快な言葉が返ってきた。
 趣味は鉄道旅行、客船クルージングだが、好奇心旺盛で乗り物全般に目がない。さらにキャンプも大好きなアウトドア人間である。出身は高松市だが、小中高の多感な時期は丸亀で過ごした。充実の56歳。


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