ホーム香川のキーパーソン【ロイヤルパークホテル高松 座敷割烹「錦」】 女将 杉山 由さん

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【ロイヤルパークホテル高松 座敷割烹「錦」】 女将 杉山 由さん

着物一つでも「もてなしの心」を大切にお客様の喜ぶ顔が何よりのエネルギー

 たおやかな和服姿で「いらっしゃいませ」と迎えてくれる杉山女将。そもそも嫁ぎ先も料理店だったというから、接客業とは縁が深い。平成四年に高松市の料亭に入社。ロードサイドの支店の立ち上げにも携わった。充電期間を経て「錦」の女将に転じ、この12月で3年になる。
 「もともと『錦』の恵比須料理長とは知り合いでしたし、料理長の料理に対する思いに共感し、ぜひその思いをお客様に伝えるお手伝いをしたいと思って」と、女将転身の動機を語る。

 讃岐ならではの旬の食材を、冴えた技術で仕上げる「錦」の料理。そこに込められた料理人のこだわりを、確実に客に伝えるのはサービススタッフの役目だ。
 「日本料理店ですから、料理がおいしいのは当たり前。その100%のおいしいを120%にできるかどうかは、直接お客様と接する私たちにかかっています。単なる料理の説明でなく、プラスαで何を伝え、お客様に喜んでいただくか。スタッフ一人一人が考えなければ」
 女将の仕事で一番大切なことは「人を育てること」と言う。スタッフ全員が同じ気持ちで、同じ方向へ向かって働けるようにまとめる。その基本はまず、制服である着物をきっちり着られるようになること、というのが持論だ。
 最近は着物を着慣れない女性がほとんど。最初は着付けも教えるが、慣れたら自分で着られるように指導する。自分で動きやすいよう着付けを考えたり、帯などの小物を買ってそろえたりと工夫できる人は、仕事への熱意もあるということだ。
 「着物で段取りよく動こうと思えば、自然と着物の所作も身につきます。支給された制服とは言え、傷めないよう着ることを心がけていれば、ものを大事にする心も育まれる。」
 もちろん自らも、着物の着こなしには気を使う。茶道や日本舞踊など「着物のプロ」の客が来れば、着付けや所作などをさりげなく観察する。着物に限らず何事も「日々観察、日々勉強」の毎日だという。
 客への季節ごとのちょっとした贈り物や、花など客室のしつらえ、そうした細かな一つ一つが、客を温かく迎え、気持ちよく帰っていただくためのもてなしの心に通じる。
 「お客様が喜ばれた顔と声、これしか仕事の喜びはありません」と言い切る言葉に、「錦」の顔としての確固たる心構えがうかがえる。


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