▼セブンの脅威

　コンビニ業界のビッグスターとしてその名も高いセブン-イレブンが、遂に四国上陸を敢行する。
　「いつ来るのか」「来ないかも分からないぞ」と噂が噂を呼んでいたが、やはり四国市場はノドから手が出るほど欲しいエリアだった。
　まず香川を攻める。そしてあとの３県へ触手を伸ばす手筈のようだが、すでに水面下の工作は始まっている。
　単発で一店ずつ作っていたのでは時間がかかる。やはり現店舗を狙い撃ちに鞍替えを策す方が早い。
　その手始めがサンクス。
　香川・徳島で120店ある。これを一挙にひっくり返すとセブンのスタートの勢いはつくし、侵攻作戦は容易になってくる。来年１月にサンクスとの契約が満了するサンクスアンドアソシエイツ東四国（真鍋康正社長）には、願ってもない大きなお土産になる。

---

　転換希望もあってサンクスとの話し合いは順調に進んだ。
　ところがどっこい「他のチェーンへの鞍替えはできない」との一項もあって遂に裁判沙汰に。この結果がどうなるかわからないが、案外時間を食うかもわからない。
　和解という形で一件落着になればいいが、ゴタつくとイメージにも傷がつく。サンクスからセブンへ。最も短距離のレースで一気に加盟店が増えるが、サンクスとしても大きな痛手となるため必死に阻止する構え。
　確かに聞こえてくる情報によるとセブンの人気はすこぶる高い。
　実際に岡山県倉敷市へ行きセブンの店舗を何店か訪ねてみた。弁当など買物もした。いままで香川県下にはなかったゼロ地帯だったので、岡山県一帯に出店しているセブンの店はかなり強力なことを実感した。
　従業員の接客も良い。倉敷市内のある店へ入ってみたところ、レジ前にかなり大型の冷蔵ショーケースが置かれ、冷凍食品が並べられていた。これは便利がよい。弁当、お惣菜なども豊富に陳列されていた。
　セブン銀行のＡＴＭがあり、当地では中国銀行と並び掲示されていた。
　ほかに百十四、トマトなども小さく書かれていたが、おそらくその土地にある地銀と提携しているのだろう。ＰＢ商品も多く商品開発力に強いことも窺わせた。

▼セブンの強力な店舗力

　他のコンビニにない強力な武器は、なんといっても「セブンミール」が本格稼働すれば、怖い存在になることはまちがいない。特にスーパー、弁当業者には相当の打撃を与えよう。
　もっとも居酒屋のワタミがすでにシニア向けに弁当供給業をスタートしているので、かなり競合はすることになるだろう。
　セブンの強味は自社でＰＢを多く製造してきた経験があるので、弁当などの製造はそれほど苦労しなくとも可能だ。配達ネットをどう作っていくのかわからないが、これからの時代に支持されそうだ。
　コンビニの競争は加盟店の争奪戦が激化するとともに、転向組なども交ざりこれからがヒートアップする。
　まずサンクスに目をつけたところはすごい。香川・徳島で120店を一挙に鞍替えすれば、セブンの唱えるドミナント効果は誠に大きな実績となるだろう。大きな弾みをつけて愛媛、高知、徳島へなだれ込んで行く。
　また有望立地は次第に減少の一途を辿っているため、各社の争奪戦は一層激しくなってくる。そのほか大型病院、大学、専門学校、集会場など、人の集まるところへコンビニ設置を増やしていくことも作戦の一つ。
　つまり店舗を作らないで店を増やす方が効率がいいため、物色すればまだ可能性は残っている。
　大通りよりも横道の好立地を求める動きも活発化しており、独自で車の通行量などを調査して目鼻をつけていけば、まだ開拓の余地は残っている。いみじくもセブン蝟イレブンの四国進出によって泰平の夢は破られた。知恵を絞り汗をかいていかに自社の加盟店を増やしていくか。
　シノギを削る戦いはいま始まった。

---

---