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10月15日号

 9月30日ホテルパールガーデンで開かれたマルナカ流通グループの経営方針発表会の席上、取引業者、金融関係、マスコミ関係者を前にマルナカオーナーの中山芳彦社長が「現在グループの売上は3500億円。これを5000億円にしたい。しかし気力はあるが体力が付いていかない、このあたりで引退することを決めた」とあいさつ。新社長に長男の明憲氏が就くことを明らかにした。
 その発表からわずか5日後同じ場所で、ワンマン社長引退の話題が吹き飛んでしまう電撃会見が行われた。10月5日午後突如としてインターネットに流れた「イオンがマルナカを買収」というショッキングなニュースに対する、マルナカの新社長明憲氏による記者会見だ。


 中山明憲社長は「㈱マルナカ、㈱山陽マルナカのイオングループへの株式譲渡、それにともなう㈱マルナカホールディングスとイオン㈱との資本提携を9月29日付けで締結した。
 11月25日をもって株式の移譲を済ませ、資本提携を完了する予定だ。
 昨年8月11日、イオングループ、三菱商事、マルナカ、山陽マルナカの4社で包括業務提携契約を結び提携の進化について検討してきたが、資本の結びつきを含めないと提携効果が出ないと判断、昨年暮れから資本提携の話し合いをスタートした。
 11月25日以降も組織体制は変わらず、社長は引き続き私が務める。役員、従業員も変わらず業務を遂行する予定で、提携の内容については今後議論を重ねて提携による効果を出したい。イオンから数名ずつ顧問を迎え、12月初旬から実際に業務提携の形づくり、実行に移っていくスケジュールだ」と報告。
 記者の質問に「生鮮を得意とするマルナカに対して、イオンは総合力やシステム、開発力等に強みがある。互いの弱点を補えるという相性の良さで昨年の提携が結ばれた。
 提携は前社長の父とイオングループの岡田卓也名誉会長の話から進行したもので、どちらから持ちかけたというものではない。
 マルナカの生鮮食品に対してイオンから高い評価をしてもらっており、中四国のイオングループの生鮮部門をマルナカが引き受けるという可能性もある。一方でマルナカ側の衣料や雑貨類についてはイオンの調達力、商品開発力を導入したほうがプラスとなる。双方がお互いの強さを引き出すことで厳しい経営環境の中で戦っていくということだ。
 今回の提携により、取引先を絞るとかリストラするという話にはならない。
 関西への出店は今後も強化するが、提携によって出店できるチャンスは増えたと考えている」と答えた。
 イオン㈱はマルナカの発行済株式の94.96%を総額364億円で取得し子会社化、山陽マルナカの株式は総額85億円で100%取得し完全子会社とする。一方のマルナカ側は、㈱マルナカホールディングス(旧社名はマルナカ開発㈱ 中山明憲社長)が、証券取引市場内の取引でイオンの株式を取得する。
 取得株式数について中山社長は明言を避けた。
 イオンは今回の買収目的のひとつに「中四国でのシェア拡大」を掲げており、買収により連結業績はセブン&アイホールディングスを抑え国内小売業のトップに立つ。
 なお、グループの資産管理などをおこなうマルナカホールディングスは、現在高松市中新町で本社事務所を建設中。引退を発表した中山芳彦前社長は役員に名前を連ねていないが、引退後はホールディングスの事業を統括するとみられる。
 イオンとの資本提携後もマルナカの社名は残り、お馴染みのロゴマークもそのまま継続して使用するため、消費者からみればイオンのPB商品がマルナカの店頭に増え、電子マネーの導入などメリットもあるだろう。
 しかし県内、特に取引のある中小の食品メーカー、卸業者からは不安視する声が聞こえる。人的削減、店舗削減などのリストラはなく、取引業者との関係はこれまで通り維持するとの話だが、提携直後の会見での発言であまりにも流動的な要素が多いためだ。ましてや子会社化される側のマルナカサイドが易々と発言できるものではない。
 会見後に取材を進めると関係者から様々な話が聞こえてきた。多くは噂話、憶測の域を出ないものの「なるほど」と感心できるストーリーもあった。事実は当事者のみ知るところだが、ワンマンオーナーの引退会見と子息への承継発表、そしてイオンとの資本提携発表という大きな動きには、多くの関係者が強い関心を持ったことだろう。
 対マルナカから、対イオンへ。地元スーパーの経営戦略にも大きな影響を与える買収劇であった。


目次

  • 編集長インタビュー
    野村證券(株)高松支店 支店長 織田正孝氏
  • イオンがマルナカ、山陽マルナカを買収
  • 愛媛・四国中央市の展示場を刷新 三協ハウジング
  • エムズプラザ開設 三菱電機住環境システムズ(株)中四国支社
  • 15年ぶりに全国製麺業者香川大会開催
  • 2011四国大試飲会in高松開催 全国名門酒会
  • グループホーム第二弾が開業 四國産業(株)
  • 「出光法人専用カード」法人会員を募集 出光クレジット(株)四国エリア
  • 香川SEO集客支援協会を立ち上げ スタジオルカ
  • 「めぐりんWAONカード」の販売が好調
  • 三井アウトレットパーク倉敷が12月1日オープン
  • 「さぬきワインサポーターズ倶楽部」発足
  • 「ステーキハンバーグ&サラダバーけん」が高松・空港通りにオープン
  • 栗林公園大茶会にて「新日暮亭」改名除幕式
  • スポーツに特化した整形クリニック 三条整形外科スポーツクリニック
  • オープン1周年 (株)ワイン・アンド・チーズ・コンシェルジェ
  • カフェの新しいスタイルを提案 カフェスタイルハヅキ
  • インサイドレポート
    巨艦イオンがマルナカを電撃的に買収
    体力消耗戦の様相を呈する広島商圏
  • グルメレポート
    韓国料理 スッカラン
  • PhotoTopics
    たかまつ大道芸フェスタ2011
    栗林公園茶会

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