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香川のキーパーソン

FIT SMILE 福利厚生管理士 小山友香さん

 十数年、B to Bの営業職で会社員を経験し、福利厚生管理士の立ち位置から「あったらいいのにな」を機に始めた地域密着型優待サービス「さぬきふぃっと」。どういった形が良いか、練りに練ったという。福利厚生になるだけでなく、地域内のお店を使うことで地域活性を生み出すことで、香川県全体が元気になれると考えた。
 2023年11月に、飛び込みから始め、現在では会員数は180名を超え、加盟店も100件以上。高松市に拠点を置き県内各地に現在も加盟店や会員を増やしている。
 「同じようなサービスは大手がやられておりますが、さぬきふぃっとは地方(香川県)にフィットしたサービスを、低コストで提供しています。香川県発の地域活性化モデルとして、地域課題解決と経済活性化の両立を目指しているんです」。と話す小山さん。
 「さぬきふぃっと」では、地元の飲食店、美容院やスポーツ施設等を特別価格で利用できる。
 会員制で、会社・団体等で登録する場合は、一人あたり年間3300円。個人会員は5500円。日常的に使えるクーポンに、会員一人につき家族2名まで利用できる。


 加盟店は手数料なしで、ホームページや小山さんのSNSへの掲載もして貰え、店舗に貼る黄色で目を引くステッカーも提供する。また加盟店自体も会員になれるため、相互で支援しあえる仕組みを作っている。
 「香川県には、こういったサービスがあるよと広がっていけば、県内で働こうという人も増えるかもしれないと思っています。地元の消費促進、雇用維持につながり、香川県の活性化になればという思いです」。
 オンラインでの、ビジネスが増えるなか「初めてお目にかかるときは必ずお伺いさせていただきます。県内でも遠いから、と遠慮されることもありますが、出かけた先での発見、出会った方から教わることも多いです」と笑顔を見せる。


日渉塗料㈱ 代表取締役社長 二川 晃一氏

 香川県を拠点に塗料・原料の販売、塗装設備機器の販売、メンテナンス工事など幅広い事業を展開する老舗企業。
 日常の暮らしに彩りを添える商品とサービスを通じて、地元に深く根ざした存在として親しまれる中、創業76年を迎えた。
 そんな同社の舵取りを2022年に託された二川社長。就任後まず取り組んだのが「経営指針書」の策定だと話す。
 「どこに課題があり、どの方向に進むべきかを明確にするためには、自社を冷静に見つめ直す必要があった」と、客観的な視点から会社の現状を把握し、今後の方向性を定めることに注力。
 その中でも特に、「人材力の強化」と「組織の持続性」に焦点を当てたという。
 これらの課題解決にあたって、塗料メーカーから経験豊富なOB社員の採用を実施。即戦力となる人材を迎え入れることで、現場の技術力と対応力の底上げを図った。
 同時に、若手社員の教育体制も強化。ベテラン社員の知識を次世代に継承し、組織の若返りと活性化を推進している。


 また、業務の効率化を図るため、IT活用にも積極的だ。受発注業務のデジタル化や情報共有の仕組み化により、業界特有のアナログな慣習を少しずつ変えていく姿勢を見せている。
 社員が安心して働ける環境づくりにも力を注ぎつつ、「働きやすさは社員の定着と成長に直結する」と考え、福利厚生の見直しや制度改善にも取り組んでいる。
 「〝地域の皆様に愛される地域1番店〟でありたい」とビジョンは明確。
 取引先や顧客はもちろん、地元の人々とのつながりを大切にする姿勢は、同社の経営理念とも深く結びついている。
 「これまで多くの方に助けられてきた人生だったからこそ、今度は自分が奉仕する番。社員と地域、そして業界に貢献できる〝良い会社〟を築いていきたい」。
 同社の未来を見据える氏の視線は、次の時代を見据え、静かに熱を帯びている。
 法政大学卒。47歳。


インフルエンサー 田村 純麗さん

「第二の故郷でもある香川県の魅力をもっと多くの方に知ってもらうために、今後も情報発信に努めていきたい」
 笑顔を見せながら話すのは、モデル・インフルエンサーとして活躍する田村純麗さん。
 田村さんは、幼少期の一部をシンガポールとロンドンで過ごし、幼い頃から国際的な環境に身を置きながら、異文化への理解と適応力を養ってきた。
 その後、日本に帰国。兵庫県で小学校から高校までの教育を受けながら、子役として朝ドラや大手CMに多数出演し、全国的な知名度を得ることとなった。
 大学進学とともに香川県に移住。「芸能は夢であり趣味でもある」と話し、「自身を自己表現できる最大のツールであることから芸能活動を続けていきたい」という想いから、大学生活を送りながら、フリーのモデルとして新たなキャリアをスタートさせた。
 「元々は人見知りな性格で、四国の歴史も詳しくなく、人間関係を一から築くことに不安もあった」と振り返りながらも、「全力で前に進んでいるうちに、いつの間にか香川が好きになっていた」と微笑む。


 持ち前の明るさと国際的なバックグラウンドが評価され、2021年には香川県観光大使として就任。2年間にわたり香川県の魅力を国内外に発信してきたことに加え、ラジオパーソナリティーやCM、雑誌・ポスターの表紙を飾るなど、地元企業やブランドとのコラボレーションを通じて、地域経済の活性化にも貢献している。
 現在は、学業にも注力しながらインスタグラムなどのSNSプラットフォームを活用し、コスメや県産品、飲食店の紹介に注力。洗練されたセンスと誠実なレビューで、多くのフォロワーから信頼を得ている。
 「香川には、まだ知られていない多くの魅力や可能性が秘められており、それを引き出すことで地域全体が活気づくことができると考えています。香川の皆様とともに地域を盛り上げ、未来を共に創りたい想いは私自身の強みですので、お気軽にお声がけ頂ければ幸いです」(田村さん)
 今後は、「英会話の強化を図ることと、心理士の資格を取得することで、自身のキャリアに繋げていきたい」と向上心は増すばかり。
 国際的な視点と地域愛を持ち合わせた多様な活動が、多くの人々にインスピレーションを与え続けることに期待が寄せられる。


㈱高松ホットスタンプ 代表取締役社長 杉山 俊行氏

 看板の企画デザインから製造、施工まで担う一貫体制を整え、ゼネコン、地元有力企業から高い評価を得る同社。
 創業者 杉山忠重氏から長男国人氏へ引き継がれ成長を果たし、53期に突入した今月1日付けで、忠重氏の孫で、前社長の甥にあたる俊行氏が新社長に就いた。
 1992年生まれ31歳という若き3代目トップの誕生だ。
 出身は高松市。高松商業高から岡山大学経済学部に進学。小中高と水泳を続け、大学ではボート部に所属、心と身体を鍛えた。 学卒後、エネルギー系の商社で法人営業担当、半導体メーカーのISO担当部署に勤務。他業界での社会経験を経て2020年4月に高松ホットスタンプ入社。
 経営管理室、営業の現場を経験、1年前より副社長を務めた。
 順風に4年が過ぎたわけではない。今も鮮烈に記憶に残るのが、品質不良による大きなクレーム。
 結果として、クレーム対応の陣頭指揮を執り、全社を挙げて解決したことは、人間としてひとまわり成長し、社内はもとより得意先から認められる機会となった。


 「前経営陣からは今を大事にしながらも、デジタルやIT化の推進、多様化する感性に応えられる体制づくり等、若い力で変革を期待されていると感じている。
 私たちの事業は、街づくりの一翼を担えるポテンシャルがあり、常に全力で向き合いたい」
 営業、管理、工場の3部門があり、現在の社員数は53名。50代のベテラン・中堅社員が多く、技術の継承は課題のひとつ。また、各部門で将来自身の右腕となる若いリーダーの育成も時間をかけて取り組む課題となる。
 2年前から半年に一度、社員と個別面談の場を設け、意見を交わすとともに、社員の気持ちの変化に気付けるよう努める。
 「経営陣と社員の垣根は作りたくない。
 今年は経営理念を変更する予定。明確な指針を言葉にして、全社で目指す位置を示したい。 
 まずは、今をどれだけ磨き、高めていけるか挑戦したい」
 趣味はキャンプに旅行と、かなりの行動派。


(株)ビショップ 代表取締役 中北 悦道氏

 出身は丸亀市。関東の大学を卒後、大手電機メーカーに就職し淡路島でSEとして45歳まで勤務。
 10年前に早期退職し帰郷。実母の玲子さんと同じオッペン化粧品に携わる。
 「母は、愛情を注いで育て上げたオッペン営業所を、家族に継いでもらうことが夢だった。母が体調を崩したタイミングで、夢を叶えてあげるため覚悟を決めた」
 玲子さんは今も丸亀市の三条営業所長を務め、傘下にある30以上の営業所をフォローしつつ、営業成績は全国トップクラス。
 「オッペン本社、傘下の営業所長に認めてもらうために、自分の力で営業所を立ち上げて評価してもらいたい」と、地盤のない高松でオッペン化粧品ビジョップ営業所を設立した。
 全国にオッペン営業所長は約千三百名いるが、男性は僅か数人。女性中心の美容業界で不安を抱えながら、縁もゆかりもない高松市で独りぼっちの挑戦がはじまった。
 この時、知人に紹介されて出会ったのが、香川県中小企業家同友会で、2016年2月に入会。
 今年4月の高松第1支部総会で支部長に就任した。


 「今期のテーマは、活気溢れる支部で共に成長しよう、と掲げた。第1支部には約百七十名の会員がおり、支部長として日々、大変貴重な経験をさせてもらっている」と感謝の言葉を口にする。
 「同友会活動で、常に意識しているのは、自社を良くするために活動しているということ。
歴代の先輩支部長達がそうだったように、支部長を経験し、これだけ本業を拡大させたと報告する姿を、後進に示したい」
 業績拡大のため、定期開催のイベントでコミュニティ強化、男性向けスキンケア教室など、ビショップファン拡大に努める毎日だ。
 「将棋は盤面を考え、最善と思った手を指すが、相手は自分が想定する手を指してくれないため、その都度対応が必要となる。普段の経営、生活も同じで、環境の変化に応じて、理念は変えることなく、戦略的な部分は臨機応変に行動している」
 将棋は、かつてプロ棋士を目指したほどの実力で経営にも将棋の考え方を生かす。
 1969年6月5日生まれ、まもなく55歳を迎える。