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東宝物産㈱ 皮革工房メンテナンス担当 塚田さおりさん

 戦後間もなく創業、クリーニング業に参入し60年近い歴史がある東宝物産。県内全域にワンナワードライ・東宝の店舗ネットワークを持つ。
 入社2年目の2008年、皮革工房の立ち上げにあたり、抜擢されメンテナンス職人に。
 関東の専門業者に指導を依頼し、基礎から技術を習得し現在に至る。
特殊な顔料・染料を使った汚れや色褪せ、小さなキズやシミの補修で、愛着や思い出の詰まった品に再び命を吹き込む。
 基礎知識を得たとはいえ新規事業は手探りの中でのスタート。
 「当時は仕事が少なく、トラブルもあって苦労の連続。楽しいと思う余裕すらなかった」と述懐するが、今では店舗で受け付けるリピーターも増加傾向にあり充実した毎日。公式サイト上での受注により、同社の店舗がない県外からの相談も寄せられるようになった。一昨年からインスタグラムでの情報発信にも取り組む。工房は本社工場にあり、塚田さんが直接店舗で受け付けすることはないが、店舗を通じて、また直接電話を通して届くお礼の言葉がやりがいに。


 当初は革靴、バッグ、革小物が中心だったが、最近はキャンバス生地のスニーカーなどのメンテナンスもニーズが伸長。
 除菌・消臭効果に優れるオゾン水を使い手洗い洗浄し乾燥。要望に応え細部の仕上げ工程に進む。
 手作業のため生産性が上がらないこともあるが、顧客の思いを優先し、喜んでもらうためのメンテナンスを心掛ける。
 もっと「皮革工房に直してもらいたい、皮革工房に出して良かった」と言われるように日々研鑽中。
 受付時には一点一点カルテを作成。顧客の要望を記入してもらい、作業を終えた商品には、感謝を込めた手書きのコメントを添えて届ける。
 面倒見が良く、気配り目配りもできる性格は、社内のメンテナンス役としても重宝される存在だという。
 東かがわ市出身。


中讃ケーブルビジョン㈱ 代表取締役社長 藤﨑茂昭氏

 丸亀市、多度津町、まんのう町、琴平町、善通寺市の2市3町の地域情報を発信する中讃テレビ。今年6月29日に代表取締役社長に就任した藤﨑社長は59歳。
 1986年に四国化成工業㈱に入社。1994年に開局当初の中讃ケーブルビジョン㈱に出向し、約2年間営業と制作に携わった。2021年に2度目の出向。営業部及び制作部の統括部長を務めた後、社長に就任した。
 「地域のみなさんが映っているテレビです。最初の出向の時は自身も番組に出演したこともありました。今も若手営業スタッフが番組の司会をしています。」と藤﨑社長。スタッフは総勢31名。社員は皆何かしら番組に携わっていると笑う。
 「災害が少ないエリアですが、いざという時にエリア内の一部河川のカメラを利用し、データ放送で坂出市のケーブルテレビ局(KBN㈱)と情報共有をしています。防災については今後更に細かなエリアで、ここの人はここへ避難して下さいというところまでできるように考えています」。
 地域に根ざしたケーブルテレビにも課題があるという。


 「テレビ離れが進むなか、現在のサービスでは限りがあります。そこでネット環境さえ整っていれば全国どこでも視聴できる『ロコテレ』というプラットフォームを利用した、配信の実証実験を進めています。まだ実験段階ではありますが、当社が制作した『みちようび』という番組が視聴回数上位にランクインするなど、手ごたえを感じているところです。他県にお住まいの中讃エリア出身者が故郷を感じてもらえるような番組をもっと提供できれば、さらに喜んでもらえると考えています」。
 「平日18時30分より放送している『CVCニュース』は開局当初から続く看板番組で、エリアの情報をお届けしています。また、高齢者の健康づくりに携わるボウリング番組『スマイルボウリング』も大人気で、今は唯一の視聴者参加型番組。もし出演者が少なければ自分たちも出ようと話していましたが、出る幕がありません。皆さんマイシューズを持ちプロボウラー顔負けのボールを投げます」。
 他局にはない自由な発想の番組で、地域の人の笑顔を作る中讃テレビ。2市3町のそれぞれに面白味がある、まだまだやるべき事、やりたいことがあると意欲を見せてくれた。


USE㈱ 代表取締役 上原要一氏

 「他社がやらないことを積極的に挑戦し、必ず実績を残す」というモットーのもと、高度な制御を必要とするロボットを使った自動機等の開発に尽力。
 電気工事の現場監督、システムエンジニアの下積みを経て、1997年に独立。
 経験、信頼を基盤とした高水準の技術力は全国から注目を集めるほどに成長した。
 今年からは、某大手企業とタッグを組み、スマートフォンからオーダーを受けた飲み物を自動で作る『ドリンクロボット』の共同開発に本腰を入れる。
 一つひとつの動きや作業工程をロボットにプログラムさせることは容易ではないが、「社員一丸となって完成させた時の達成感は大きい」と笑顔を見せる。
 〝人との出会い〟を大切にし、枠にとらわれない考えと前向きに挑戦する実直な人柄。
 持ち前の技術とノウハウを発揮し、ユーザーが求めた以上の商品を作ることに全力を捧げる姿勢は揺るがない。
 時には厳しさも織り交ぜながら緩急をつけて指揮をとり、「業界の活性化のためなら、若い世代への技術継承は惜しまない」と使命感を燃やす。


 今後は「未来を担う学生に、日本にはこのような仕事があり、高度な技術力を持っているということを発信することで、少しでも将来の選択肢を広げて頂ければ幸い」と方向性を示した。
 趣味は車、バイク、ウェイクボードなどを嗜む一方、最近は料理にも挑戦し始めたと、白い歯を見せた。
 高松工芸高等学校電気科卒。52歳。


㈱エスコート 代表取締役 三宅俊輝氏

 心理学「NLP」、「コーチング」のライセンスを持ち、企業や個人の可能性を最大限に伸ばすべく、全力でサポートに努めている氏は、前職の自動車整備士から、心の整備士に転身したユニークな経歴を持つ。
 「2016年、中小企業診断士としてご活躍中の㈱ビッグバン(高松市)山下益明代表にお目にかかり、NLPやコーチングに初めて触れた」
 このとき、心の持ち方やコミュニケーションのあり方により人は変わることを自ら体感。
 この出会いを機に、様々なコミュニケーション技術を体得、2017年に個人創業、今年7月法人成りを果たす。
 企業向け研修では、主にコミュニケーショントレーニングにより、新入社員から管理職者までのレベルアップのサポートなどに取り組む。


 「ここで働けてよかった、と心から思える〝場〟を創ることで物心両面の豊かさを提供できるように、『体験型』の研修を実施している。
 能力を引き出して、整えていくことが私の仕事です」
 個人セッションでは、経営者をはじめ老若男女から幅広い相談が寄せられる。
 「クライアント、自身の成長を肌で感じられる、とてもやりがいのある仕事。
 来秋にはレンタルスペース、テイクアウト専門ドリンク店併設のオフィスを詫間町で建設する予定。
 新拠点が、人が集う癒やしの空間になれば」と夢を語る。
 米国NLP協会認定のNLP(心理学)資格認定講座は年4回ほど開講している。
 座右の銘は『一会一生』。
 1990年5月17日生まれの31歳。


非営利株式会社ビッグ・エス インターナショナル 代表取締役 大坂靖彦氏

 「経営者として幸せな人生を送りたい、そう願う経営者のために書いた、すぐに実践できる経営指南書。経営者ご自身のこれまでの経験、そして私の40年以上の経営体験を集約したノウハウをミックスさせて、理想の経営を手にして欲しい。購入者特典の〝読者の会〟(無料)も多くの問合せを頂いている」
 6月に発売した、ビジネス書『社長の鬼100則』(発行/明日香出版社)が話題を集める氏は、書籍に込めた思いを語る。
 上智大卒後、松下電器産業を経て、家業の家電小売店を成長させたことで知られる。その後、ケーズHD常務取締役などすべての役職をリタイアし、中小企業経営者向け『大坂塾』を開講。 現在までに全国約一千社の塾生を数え、顧問契約先は四十社を超える。マスク不足が社会問題となった昨春にはマスク35万枚を輸入。塾生らに呼びかけ、医療や教育の現場へのマスク寄贈を続けた。また自身がこれまでの人生で日本とドイツのお世話になった方々への恩返しとして配ったという。
 近年は、小中生を対象とした「ドリームシッププログラム」、高校・大学生などに向けた「若者未来塾」を開き、子供達へ人生設計のアドバイスも送る。
 また、進学のためドイツ語を学び、社会に出た後も関係が続くドイツとの交流はライフワークのひとつ。日独交流160周年の今年、両国から32名に日独友好賞を贈るべく準備中だ。


 来月の中下旬からは、日経産業新聞(全国版)の紙面企画「仕事人秘録」で20回超の大型連載がスタートを控えるなど、多忙を極める。
 「塾やドイツ関連など、次世代への継承準備を進めている」
 未来の種を蒔きつつ、足元では日々思い悩む塾生への熱い指導が続く。
 人生設計のゴールに向け、今なお全速力で走り続ける。