5月15日号
西讃地域で官民連携により活動する「みとよ・かんおんじ発酵礼讃プロジェクト」が4月25日、三豊市の宇賀神社で発足した。
香川県西部の三豊市と観音寺市には、酢、醤油、味噌、酒といった発酵文化が古くから根付いている。全国でも珍しい「どぶろく」を醸造し奉納する宇賀神社(三豊市豊中町)や、日本で唯一「麹の神」を祀ったことが縁起とされる皇太子神社(観音寺市室本町)の存在も、この地域の特色を象徴している。
発足式には、同プロジェクト委員会代表の川人裕一郎氏(川鶴酒造㈱社長)をはじめ、宇賀神社の大宮良平宮司、山下昭史三豊市長、佐伯明浩観音寺市長らが出席。さらに県立笠田高等学校(山田知子校長)の食品科学科・発酵食品加工コースの3年生10人も参加した。
川人代表は「西讃で改めて官民が連携し、発酵の歴史をひもとくところからスタートしたい。微生物によってどのように食文化が培われてきたのかを学術的・文化的に理解する必要がある。発酵を再認識し、まちづくりや食育、教育、観光へとつなげ、より良いまちを目指したい」とあいさつした。
両市長も「両市が一体となってルーツを探り、未来へとつなげたい」と意欲を示し、麹の文化的価値や発酵に関する知見を積極的に発信し、西讃地域の存在感向上を図る方針を示した。
発足式の後には、観音寺市政策アドバイザーの井上岳一氏(㈱日本総合研究所チーフスペシャリスト)がモデレーターを務め、國學院大學の渡邉 卓准教授(文学博士・日本上代文学)と東京農業大学の大西章博教授(生物環境調節学博士)によるトークセッションを開催。地域の神社に祀られる祭神や発酵の歴史について分かりやすく解説され、60人を超える参加者が熱心に耳を傾けた。
井上氏は就任以降、地域の発酵文化に着目し調査を継続。両市のシビックプライドとなり得るこの文化を広く発信しようと川鶴酒造を訪れたことが、今回のプロジェクト発足の契機となった。
また観音寺市文化財保護協会は、両市の麹文化や歴史をまとめた冊子『郷土の発酵食品〜室本麹を中心に』を発行しており、かつて多数存在した麹製造所や地域に残る食文化を記録している。
同プロジェクトでは今後、発酵の歴史や文化を丁寧に掘り下げるとともに、今夏を目標に新たな発酵調味料の開発・販売にも取り組む予定だ。
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